2022.06.04

住宅ローンが残っている家の賃貸活用方法

マイホームを購入するために多くの方が利用する「住宅ローン」。
30年や35年という長期間借り続ける前提で資金計画を行いますが、
様々なご事情により、ローン返済期間中に住み替える方も多いのではないでしょうか。

そこで、今まで住んでいた住宅を売却するのではなく、
賃貸活用して賃料収入を得ようと考えた時、
現在返済中の「住宅ローン」の取扱いについて検討が必要です。
一般的には、賃貸収入から住宅ローンを返済する方法が真っ先に思いつきます。
しかし、そもそも住宅ローンが残っている家を賃貸することが可能なのでしょうか。

 

住宅ローンが残っている家でも条件を満たせば賃貸は可能です。

ではその条件とは、どのようなものなのでしょうか。

 

条件:住宅ローン借入先(金融機関等)に相談行い、賃貸利用の承諾を受けること。

先ず、住宅ローンを借りた金融機関へ住み替えする理由を説明し、
賃貸として活用することの承諾を受ける必要があります。
その中でも「フラット35」のみを借りている場合は、
当時、借入窓口となっている金融機関へ住み替え利用の説明と
住所変更の手続きを行うことで、ほぼ賃貸活用が可能となります。

 

しかし、民間の金融機関(都市銀行や地方銀行、信用金庫等)の住宅ローンの場合は、
原則、住み替えた元々の家(住宅ローンが残っている家)を賃貸活用しなければならない、
又は、賃貸活用した方が望ましい理由が必要です。
「住み替えた元々の家を賃貸活用しなければならない、又は、賃貸活用した方が望ましい理由」
の正当性についての判断は、最終的には金融機関に委ねられることになりますが、
賃貸活用行う正当性があると認められる可能性が高い住み替え理由として、
以下が想定されます。(※あくまで、弊社の見解です。)

・転勤により住み替えが必要となった。
・転職による通勤関係等の事情で住み替えを行うこととなった。
・親族の介護などにより、同居(住み替え)が必要となった。
・子供の教育環境を考えて住み替えを行うこととなった。
・家族構成の変化(家族が増える・減る)により、住宅が手狭・手広くなった。
・住宅ローンの返済難で住み替えることにした。
等々・・

 

ポイント①「勤務関係」「家族・親族関係」「資金事情」による住み替えであること。

 

上記以外にも様々な個別事情があるかと思いますが、
一般的に見て、住み替えをする理由について“納得材料”があるのか否かということが
金融機関の判断の分かれ目のようです。
逆に、ただ単に「気分転換」「住みたい物件が見つかったから」や、
「今の家が嫌になったから」などが理由であれば、金融機関は住み替えに伴う賃貸活用について
承諾しないのではないかと推測します。
勿論、そもそも、住み替えすること自体は本人の自由につき、
元々住んでいた家を売却処分したり空き家のままにしておくのであれば、
わざわざ金融機関の承諾を得る必要はありません。
しかし、住宅ローンを返済しながら賃貸活用するためには上記のような理由を
金融機関に伝えて承諾を得る必要があります。
また、「資金事情」の場合、本来は、売却処分してローン返済するのが望ましいのですが、
住宅ローン残債が売却額を上回っていることによって売却損が出る場合など、
売却が困難なために賃貸活用するケースであれば、銀行も容易に承諾するのではないかと思われます。

 

尚、銀行が承諾しなければ賃貸活用出来ないのは、
そもそも「住宅ローン」は本人又は家族が居住する目的で低金利で融資を受けている
ことが理由です。
よって、賃貸活用することによって、当初の約定と異なる利用目的となるため、
金融機関のお伺いを立てなければならないのです。

次に、上記の住み替え事情と併せてもう一つポイントがあります。

 

ポイント②将来、元々住んでいた家に戻る予定や戻る意思があるのか。

 

住み替えにより、元々住んでいた家を賃貸活用行い、
維持し続ける理由(売却しない理由)がポイントです。
その最大の理由が「また、将来的に戻って(帰って)きて住む予定や意思がある前提」
となるのです。逆に、維持し続ける理由が、単に「資産形成のため」や「手放したくない」
などの理由では金融機関の承諾を受けることは困難ではないかと推測します。
しかし、転勤の場合でも、将来(数年後)、元々住んでいた地域の通勤圏内の支店や営業所などに
戻れる保証はありません。ましてや、ご家族・親族関係の理由で住み替えた場合、
将来、また元の家に戻る可能性など未知数かと思います。
よって、実際、具体的に戻る予定や時期があるのかということよりも
「元々の家に戻りたいという思いがあるのか」がポイントです。
勿論、具体的に戻ることが決まっていたり予定があればその時期を金融機関に伝えれば良いかと思います。

 

以上のことから、ポイントをまとめると、

「事情があって住み替えしなければならないけれど、将来的にはまた戻ってくる意思があるが、
それまで空き家のままではローン返済が困難につき、賃料収入で返済行うために賃貸活用行いたい。」

という理由や事情を金融機関に伝えることにより、
住宅ローン返済中の家の賃貸活用が可能となるものと推測します。

 

近年のライフスタイルの変化や多様化により、住宅ローン返済中の家の賃貸活用がし易くなる!?

上記、ご説明のように、住宅ローン返済中の家を賃貸活用するには、
原則、融資を受けている金融機関の承諾が必要となります。
しかし、近年はライフスタイルの変化に伴う住み替えや生活様式の多様化により、
購入したマイホームに一生住み続けることが少なくなり、住み替えが当たり前のように行われています。

 

よって、金融機関側もそのような近年のライフスタイルの変化や住宅事情に併せて、
住宅ローン返済中の家の賃貸活用についても柔軟に対応するような傾向が見受けられます。
特に「フラット35」の融資は、住宅ローン返済中の家の賃貸活用の取扱いについて
「事情を問わず融資住宅を賃貸することは可能です。」
という見解を住宅金融支援機構が明記しています。

参考)
注意点:住宅ローン控除を受けている場合、対象の住宅を賃貸活用することによって、
住宅ローン控除が受けられなくなります。

 

近年、住み替えに伴い、元々住んでいた家を売却処分せずに、
賃貸活用を選択する方が増えています。
例えば、住宅ローン返済が月々80,000円
固定資産税の年額が100,000円という支出に対して、
賃貸活用した場合の賃料収入が120,000円の場合、
年間360,000円のキャッシュフロー収支がプラスとなります。
それが10年続けば3,600,000円のプラスとなり、
住宅資産の維持が結果的に住宅資産の有効活用に繋がります。

 

参考リンク)
住まなくなった家は、定期借家契約で有効活用!

 

想いが叶って手に入れたマイホームを簡単に手放すのではなく、
賃貸活用という手段で資産形成を考えてみることも選択肢の一つではないでしょうか?

住宅ローンが残っている家の賃貸活用をご希望の方、ご参考頂ければと思います。

 

 

 

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